陣内孝則さん #2 陣内孝則さんインタビュー(相原正造 役)

今回演じられている相原正造について、どんな印象をお持ちになりましたか?

 昭和の時代によくいたデタラメな親父という感じで、僕はすごく好きですね。アメリカドラマの『宇宙家族ロビンソン』のスミス博士みたいな、「この人さえいなきゃ、うまくいくだろうに…」っていう役が、子どもの頃から好きなんですよ。『菊次郎とさき』の菊次郎もそうだけど、何かに依存している男の役ですよね。菊次郎は酒で、今回はギャンブル。次はぜひ女に依存している役でお願いします(笑)。

最近は『交渉人』の桐沢さんなど、渋い役も多いですよね

 そうなんです。最近はストイックな役の方が多いので、こういう発散する役が逆に新鮮で、演じていてとても楽しかったですね。

破天荒な役ですが、演じる上で気をつけた部分や、特にこだわった部分などはありますか?

 やっていることはひどいことなんだけど、傍から見ているとそういう人って妙にチャーミングに見えることがありますよね。正造もそういう風に見えたらいいなと思って演じました。

正造のセリフはすべて土佐弁ですが、いかがでしたか?

 実は若い頃、わりと土佐弁の役をやっているんです。武田鉄矢さんがやった『幕末青春グラフィティ 坂本竜馬』のドラマや映画に出演したときには、かなり練習しました。方言って難しいですよね。10キロ離れているだけで違うこともあるし、僕は福岡出身ですけど、「お前の博多弁は違う」って言われることもありますから。博多弁のイメージも、人によってまた違ったりするんですよね。
 僕の思い込みかもしれませんけど、方言をしゃべることで一歩役に踏み込んだような気がするんです。ただ、あまりに方言にとらわれてしまうと、芝居がおざなりになってしまうこともあるので、メリットもデメリットもありますね。博多弁もそうだけど、西の方の言葉って発散する言葉なので、やっていて楽しいです。

主演の山田優さんとは久しぶりの共演だと伺いましたが、撮影はいかがでしたか?

 彼女がデビューしたての頃の『カバチタレ!』以来ですから、もう10年ぶりくらいですね。でも、うちのホームパーティに来てくれたりしていたので、よく共演している以上に知っている仲です。男気のあるカッコいい女優さんになりましたよね。なおかつ、すごく繊細で周りに気を使えるところが、主役を張る女優さんだなという感じがしました。15歳からコツコツ頑張ってきて、成長したなって言ったら偉そうに聞こえるけど、優ちゃんのお母さんと僕は同い年だし、親子みたいな年だから、保護者的な見方をしてしまいますね。

夫婦役の渡辺えりさんの印象は?

 えりさんとは『小児救命』で共演させていただいたんですけど、あのときはシリアスな医者モノだったので、今回はこういうハジけた作品で一緒にやれてすごく楽しいです。大仏みたいなパーマとか、お金があるときのロングへアーとか笑っちゃいますよね(笑)。ああいうのをけれんみなくやれるのが、えりさんのすごいところだと思います。

今回のドラマは、貧乏で不幸ながけっぷち女・絵里子の痛快サクセスドラマですが、これまでに「いま“がけっぷち”に立っている!」と思うような体験はありましたか?

 1980年9月21日のデビュー以来、今日までずっと崖っぷちです。レコードデビューして、プロとして第一歩を踏み出してから31年。延々と崖っぷちですよ。芸能界なんてそんなもんですよね。明日をも知れない運命ですから。

ドラマを楽しみにしている、視聴者のみなさんへのメッセージをお願いします

 非常に面白い作品だと思います。昔、『抱擁』っていう映画があって、フランク・シナトラがスタンダップコメディをやっていて、ジョークをいうんです。「貧乏は貴重だ。金じゃ買えない」って。まさにそれを体現しているドラマだなという気がします。ひょっとしたら、平成の『マイ・フェア・レディ』みたいになるかもしれないですね。先がどうなるかはまだ台本を読んでいないのでわからないですが、僕も一視聴者として楽しみにしているドラマです。正造は亡くなってしまいましたが、もしかすると、韓流ドラマみたいに似ている人が出てきて、それが正造とは真逆のダンディな紳士で、絵里子と恋に落ちてしまう……なんていうのもいいかなって思ってます(笑)。それと、遺影の写真を「イエーイ!」のポーズで撮ってみました。気づいてくれたかな(笑)?